14 Mar 2010

徹夜の水の音

昨晩BishopsgateにあるSt.Ethelburga's Centreという所で24hrs Vigilというものがありました。私の職場の友人(プロの語り部)が参加していることもあり行ってきました……と書いてもよくわからないので、まずちょっと説明を。


St.Ethelburga‘s CentreはロンドンのCityという高層ビルが立ち並ぶオフィス街にある極小の元教会。周りに住んでいる人もいないので、全く使われずに建物だけが残っていたのですが、1993年のIRAのBishopsgate爆弾テロで完全に破壊されてしまいます。その後取り壊される予定だったんだけど、異宗教や文化間の和解と平和を築く場所として新たにオープン。今は多宗教が集まってイベントがあったり、和解/平和/非暴力をテーマにした講演やらパフォーマンスが行われている、とても興味深い場所。高層ビルとビルの谷間の人一人やっと通れる路地を入って行くと、小さい中庭にモンゴルのゲルがあったり、池があったり、不思議な空間です。
St.Ethelburga'sから画像を拝借。


それでもってvigilとは、私もよくわからなかったんだけど辞書で調べると「徹夜の祈り」だって。まあその名の通り夜通しのイベントで泊まる人は寝袋持参での参加でした。翌朝仕事がある私は深夜1時半ぐらいまで粘ってました。


Sara Markという彫刻家の作品がメインでそれを囲んでの「沈黙」のイベントなんだけど、これがなかなかおもしろかった。「沈黙!!」ということで写真は撮りませんでしたが、彼女はテームズ川から取ってきた水を凍らせて氷にし、それが天井から白い布に包まれてぶら下げられ、その下の金属のおわんに少しずつ溶けてしずくが垂れる仕組み。しずくはおわんに落ちて「ぽちゃんぽちゃん」と不思議な音をたてていて、それがマイクを通してホール全体に響く。おわんにたまった水はイベントの最後に参加者全員でテームズ川まで歩いて(徒歩7分ぐらい)、元来た所に返しに行ったそうです。
Saraのサイトから写真を拝借。

その氷の彫刻の反対側では、カーペットが敷かれて、囲炉裏みたいになっていて、キャンドル(わが職場の作業所作!)を灯せるようになっている。その囲炉裏を囲んでストリーテリングがあったり、音楽演奏があったり、詩の朗読があったり、夜はみんなで寝袋を出してきて寝たり…。


いまいちコンセプトはわからなかったのですが、何だかこんな都会のど真ん中に人が集まって、ぽちゃんぽちゃんとしずくが垂れる音をただ聞いてネッ転がっているのは何だか不思議な感じがしたのでした。一歩外に出れば、酔っぱらいのサラリーマンがタクシー!を呼んでいて、ばっちり着飾った女性達がこれからクラブ行って踊るわよ!という感じで闊歩している金曜の都会の夜です。ここに来る直前はまた別のイベントに行っていて、そちらはフルオーケストラちょっとオペラといった感じのかなり大音量だったので、St.ethelburga's の静けさが気持ちよかった。でも着いたとたんしずくの音を聞いて、急に眠くなり、あくび連発。水の音って癒しだよねえ。
ロンドンって色んな人がいて、色んな隠れた場所があって、毎晩街中のそこここで、不思議で少し意味不明なイベントがあって、まあだいたい友人のネットワークで参加する形になる感じだけど、パブに行く以外にも色んな夜の過ごし方があるもんだ…。



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