29 May 2010

悲しい空気

最近なぜか悲しい日々です。人が移動する時期だからでしょうか。

ノルウェーの森を久しぶりに読んだら(あんまりおもしろくないね)、より憂鬱になって、でも友達が貸してくれた「Noah and the Whale」の新しいアルバムがなかなかよくてボリュームをあげてずんずんと流しながら、絵を描いたりしています。

今までアンチ「アバター」組を勝手に貫いていたら、友達に誘われて昨日とうとうDVDで観ました。まあまあ。なんとなく「もののけ姫」のしし神を思い出しました。似ている…。写真はアバターを観た日の一日の風景。


明日は久しぶりに泳ぎに行ってこようと思います。

26 May 2010

大学時代の空気

大学時代は毎晩のように酒を片手にうんちくを傾けていました。
誰かの個展のオープニングに押しかけては、これはだめで、あれはだめで…と要するに批判を語り合い…今思えば何をあんなに語ることがあったのか、よくわかりません。
私はいつも、そうだね…と相槌打つ方がメインだったのですが。
暇だった、というのだけはかなり確かです。

先週久しぶりに大学の友達のパーティーに顔を出してきました。本の出版記念パーティー。
そこで何人か懐かしい人たちと出会い、近況報告。+名刺片手に営業活動。
今年同じ科を卒業する人の大学の話を聞いたり、誰がわかれたとか、くっついたとか、どこに引っ越したとか…。そして肝心の本を出版した友達は東京に行ったときの思い出を語ってくれました。

とにかくみんなおしゃべりだよね。何でだかわかりませんが、写真科の、そして特に男性はかなりおしゃべり好き、評論好き、ウンチク傾けるの大好き、自分のこと語るの大好き。こうエネルギーが外に外にと出て行く感じです。(私の職場の人たちはどちらかというと、エネルギーが内へ内へと蓄積されていくタイプが多くて、)こうゆう雰囲気の中に久しぶりに戻った感じでした。そして私は相変わらず、相槌打ってました。

ところで、その中の一人で卒業間近の大学生が「ロンドンでね、生き延びるって本当にすごいことだよね」と急に言い出しました。
「あーそうなのかな。自分6年間、卒業して3年間ロンドンで野垂れ死にせずにのほほんと生きているけど、それって結構すごい?」と勝手に自分に自信つけて帰ってきました。かなり自己満足。

こちらが友達が自主出版した「またあうひまで」。日本に帰っちゃった彼女と過ごした夏の日々の写真集。センチメンタル。それから暑い日ざしがきれいなロンドンの午後です。


ところでロンドンは昨日まで暑い暑い日々で、今日からまた寒い曇り空に戻って、コート復活。寒い。
今調べたていたら古屋誠一氏の展示が東京都写真美術館で開催中!ぜひ、行ってください。東京在住の方。私の一番好きな写真家の一人です。いいなー行きたい。ものすごく行きたい。行きたーい。

23 May 2010

こけしきのこ

とは今の自分の形容詞。
実は髪を切りに行き、何年かぶりに前髪が誕生。
こけしのようなきのこのような感じです。

最近あんまり共同騒動生活の話が出ていないな…というのも特に事件も大イベントも無くたんたんと過ぎていく日々。たんたんと過ぎていくものの、実際にはカンタベリー巡礼の準備にあわあわと電話かけまくり、パソコンの前に座りっぱなし…の日々。

でもそれもひと段落したので、来週あたりから地図とスキャナーを片手に、今年のルート作成を始める予定です。 泊まるところが変わったり、車椅子利用者がいたりいなかったり、去年のルートが良くなかったりする関係で毎年微妙に変更になるのです。でもこうゆうの結構好き。私地図って、何時間見てても飽きないよー。だって面白すぎ!農場や家の名前も載っているのですが、それが「Deadman's Wood(死人の森)とかSquids Gate(イカの門)とかSlaughter House(屠殺場…そのまんま)とかSheepWash(羊洗い場)とか」。
こういう名前を見つけては一人で喜んで、地図作りは一向に進まないことも。

それから今年になって仕事で知的障害者の男性と彫刻を始めました。木工です。とんとんかんかん、やるのが好きな人なんですけど。当初は、釘も満足に打てない私でしたが、彼に鍛えられ、今はドリル、かなづち、のこぎり、片手にせっせと彼の制作活動を手伝っています。材料は、すのことか、ベッドの枠とか、針金などなど…ようするに何でもあり。 その彼は一切しゃべらないので、手話と指し示しの無言の業。当初はよくわからなかったし、気まずかったけど、最近面白くなってきました。Turner Prize目指してがんばります。でも、当の本人はそんなことどうでもいいんだと思う。真のアーティストってやつ?

14 May 2010

Let my people go

昨日映画「A Room and a Half」を観にいきました。
平日の昼間だったので、映画館に私一人!と思いきや、直前になり杖をつくよろよろのおじいちゃんが入ってきた。(でも客二人だけ。映画館も大変だな…)

映画はソビエトを国外追放されたノーベル文学賞の詩人ヨセフ・ブロツキーが両親の死後初めてサンクトペテルブルグまで帰る時の回顧録。といっても本当のブロツキーは一度もロシアに帰らなかったそうなので、想像上の回顧録といった感じでしょうか。ドキュメンタリーとドラマとアニメーションと織り交ぜた不思議な感じ。でも後半部分はロシア語での彼の詩の朗読がとうとうと続き(お経のような調子で)これには意味がさっぱりわからないし、字幕をがんばって追っているせいか頭も痛くなってくるし、少々うんざり。詩ってよくわかりません。途中ブロツキーの両親が、「あんたの作品読んでみたけど、ちっとも意味がわからなかったわ」と言うシーンがあって、なんだかどこの両親も子供の芸術作品にはこうコメントするのかな、と思ったりしました。

途中ブロツキー少年時代の想像の世界をアニメーションで描いてるところはユーモア溢れておもしろかったです。
彼の家のピアノが売られてしまう時に、ピアノやバイオリンやホルンがサンクトペテルブルグの街中を飛んでいくシーンがあって、それが私の大学からの友達の作品に良く似ていて何だか笑ってしまった(良い意味でね)。当の本人はイスラエルの田舎のNPOで働いていて、ロンドンに帰るつもりもそこまでないようなので、あんまりそんなこと気にしないでしょうが。時間あったらこの映画の予告編と、その彼のホームページなどご覧ください。

人は流れてどこどこ行くの♪

って夏川りみが歌っていたっけ。
最近まわりで地球を移動する人たちが増えてきました。

オーストラリアに行ってしまった人。
カナダに行く人。 
カナダに帰る人。
ドイツに行く人。
日本に帰る人。
近所内で引越しする人々。
イタリアに行く人。
イギリスに来る人。

第一移動期は大学時代に起こりました。高校の友達は地球のあちらこちらに散らばり、ヨーロッパ圏内には留学関係でまあ最低7人ぐらいは常にいたはず。

第二移動期は今起こりつつある感じです、仕事関係で移動する人たち。

私自身は7年前に第一移動期で(一人)民族大移動して以来、イギリスに落ち着いてしまいましたが、何だか最近になって血が騒いできた…。これは次なる大移動の予兆でしょうか。

イギリスに来て、バングラデシュやらに行って色々とふらふらしていた時は、私って遊牧民系かな、と勝手に考えていましたが、やっぱり19年間田舎も持たず引越しもせず一箇所に住んでいただけあって、根は定住民族なんでしょう。あんまり小さい引越しを繰り返すよりも、一箇所に落ち着いて自分スペースを開拓する方が面白いと感じます。

真の遊牧民系の人たちは(イギリス人に多くみられますが)、本当に懲りずに移動します。地球を移動するのはもちろん、家も契約が切れ次第引越し、 仕事もしょっちゅう変えて…器用に何でもこなし、という人たちに沢山出会いました。そういえば日本人でそうゆう人に会ったことはまだあんまり無いな…。

私でも…、ちょっとそろそろ大移動しようかな、と思ったりする今日この頃。

5 May 2010

独りぼっちの瞬間

明日とうとうイギリス総選挙です。
私は選挙権全く無い、「一外国人労働者」ですが自民党どうにかがんばってくれ…保守党にじりじり迫ってくれと心の中で応援しています。イギリス政治事情はかつての同居相手P氏にとくと洗脳(いや、共鳴もしました)されて、彼の政治嗜好を受け継ぐ形になりました。

でも労働・保守・自民とそろって移民政策を厳しくする公約を掲げているようです。イギリス国民から票がほしいのだから当たり前です、失業率が高いこの状況で。どこが政権とっても私のビザの行方は怪しくなるばかり。私とアメリカ人とインド人で組む「外国人労働者・兼・独り者・兼・飲みの会同盟」では、あーこれからどうなるんだろ私たち、でも一先ず飲むか、とこの将来性があまりない自分たちの状況を日々語り合っています。私たちはイギリスで常に宙ぶらりん状態、政府次第の運命。
個人的にはビザの更新が出来なくなる日への心構えは出来ているのですが、イギリス自体を離れることに対して未練はあまりないもの、今の職場と一緒に働いている人たちと離れなくちゃいけないとなると、これはこれでかなりつらいものがあるんだろうな、きっと。

今年7月でイギリス生活8年目突入。片田舎コーンウォールの肉屋の片隅に居候…から始まり今はおかげさまで健康にロンドンの下町生活を送るに至っています。7年あっという間。最近ずっと一緒に働いていた日本人が退職し、7年目で初めて日常生活日本人私だけの状況を体験中。(これって考えてみるとすごいことですね、日本人って本当にどこにでもいるんだわ)。職場が国際色豊かだし、ロンドン自体移民の町なので普段の生活で、「私外国人」と気になることは滅多に無い感じ。

それでもたまに、「あー白人じゃないの私だけ!」と急に気づく瞬間があります。例えば、前回のTunngのライブとか、時々行くインディー系クラブイベントHow does it feel to be loved? とか Crystal Palaceのパブとか。 友達と行って飲んで「うひょー」と踊って、はっと気づくと「白人じゃないの私だけじゃん!!」。
(はっきり言うと「外国人私だけじゃん」と感じるのですが、これはうそですよね。白人=イギリス人とは限らないので) 
(因みに仕事でアフロカリビアン系の美容院に一ヶ月に一回行くと、全く同じような状況になりますが、それは慣れているからか、あんまり気にならない)

気づいてしまうと、いくら酔っ払っていても何だかちょっと気味悪いような変な気分になり、あー自分でイギリスに落ち着いているって勝手に思ってるけど、周りの人はどう思ってるんだろ、何で私こんなに浮いてるんだろう…と説明しがたい変な感覚に陥るのです。独りぼっちだなーと。見た目なんて関係ない、と言っちゃえばいいのでしょうが、なかなかそう言い切れるでもない、変な感覚ね。これはイギリス生活7年目にして多くなってきている現象です。

2 May 2010

Tunngよりインスピレーション


もうだいぶ前の話になるのですが、3月末にブライトンまでTunngのライブに行って来ました。イギリスに来てから、偶然BBCのラ ジオで耳にしたこのバンド。それ以来好きになり今回のライブは2度目。1度目のライブはあんまり音が良くなくて、少々がっかりだったのですが、今回ブライ トンのライブべニューでは大御所のConcorde2(海岸沿いの崖の下にある不思議なビクトリア時代の細長い建物)で、ライブ音とともにゆらゆら。

きに来ている人たちは20代から60代ぐらいまで幅広く、でもでかい白人に囲まれてチビ萌はチビさを身にしみて実感。前の人の体と体の隙間からがんばって 見ていましたが、そのうちなんだか視覚はどうでもよくなって、目をつぶってゆらゆらしていると、絵を描く気力がもりもりと体内で広がっていき、頭の中で色 んな不思議な絵を描いていました。音が沢山積み重なっていく感じが、絵のインスピレーションにつながった感じ。元気になって帰ってきました。

ういったイラストをお願いします、と依頼が来るとだいたい最初にその人から説明を聞いた時点で頭の中にさっとイメージが浮かぶ…それを実際に紙に描き出し てみる時点は、その頭のイメージと実際のイメージと相談しあってる感じで、一本の線にしても何度も何度も書き直し…両方のイメージが一致するとようやく落 ち着く…という作業の繰り返し。何でこれを描いたんですか?と聞かれても、さー何ででしょう、頭の中に浮かびました、としか答えようの無い感じ。

も最近はもう少し、計画的にデザインしてみようかなあと、リサーチ・アイデア練・アイデア書き…と地道にやっていく手段をはじめました。イギリスの美大で は4年間(写真だったけど)しつこいほど「どうやって、この完成作品まで到達したか」の過程を聞かれ続けました。「なんとなくこうなりました。」じゃな くて「これこれこうしたからこうなった」とちゃんと説明できなきゃいかんのだ…と。(まあそればっかりやりすぎると、製作過程で頭使いすぎて、アイデアは お堅く大袈裟だけど、作品自体超つまらんものになることも多いのですが)

たまには説明できる作品でも作るか…、と神奈川県 清水市に送るロゴをただ今製作中。大学以来のリサーチブックも始め普段から心に留まるものを、書きとめています。最近は「スーパーの横にあった換気口」と か、「編み物している手」とか。いつ何時これがアイデアになるかわからないからね。

Tunngのビデオもどうぞ。