29 Nov 2009

星野道夫の暮らし方

日本ではロンドンに帰ってくる直前まで村上春樹の「ねじ巻き鳥クロニクル」を読んでいたのですが、結局全部読みきれず。母親の本だし持ってくるのあきらめました。そして飛行機の中で読む本は何かないかな、と本棚を見てみると星野道夫の遺作「ノーザンライツ」が目にとまったので、これにしようと。





結局帰りの飛行機に個別用スクリーンがついていなかったので(今時!)、この本を読んで、寝て、12時間を過ごしました。


我が家は父親が星野氏の本や写真集を沢山持っていて、中学生の頃から読んだり、Switchの記事を目にしたりしていたのですが、その頃は特別何を感じるといったことはなく、特にエッセーの方はいつも半分までパラパラ飛ばしながら読んで後は退屈になってほっぽり出す、という感じでした。自分からというより影響されて好きだと思ってたのかな。「ノーザンライツ」も以前読み始めたことがあるのですが、なんとなく途中でつまらなくなって全部読み終えなかった本。今回はどうゆうわけか、もうその頃から8年ほど経っているし、自分の生活も変わって、ずいぶんのめり込んで読みました。


何ともいいなあと思うのは、日本人の星野道夫がこれだけアラスカを愛する人たちから話を聞いて行ったという過程と、彼らとの人間関係かな。ただ日本からちょこっと訪ねて取材するだけじゃできないことです。彼がアラスカの地に定住して、地域にとけ込んで、彼らと親しくなって、みんなが話し始めて、実際に彼も経験して、書き留めてっていうゆっくりな過程が読み取れて素敵だなあと思うわけです。星野氏が約束するでもなく 友人のジニーとウッドの家にぶらりと訪ねては、お茶を飲んで、パンをかじって、時に彼らの昔話を聞いて…スローライフ。


私はイギリスに7年前来たばかりの時は「もう日本はやだ、住みにくい。」「イギリスに住む」と偉そうに少し思っていましたが、最近はちゃんとその地に馴染んで自分の居場所を築ければどこでもいいのかな、と思います。東京のどまんなかにいても、バングラデシュの農村でも、ロンドンの下町でも、自分のやることがその地にあって、地域にとけ込んで、その地の先輩に昔話を聞いて、独自の風習を楽しんで、っていう暮らしをしていきたいです。それでいて初めてその土地を楽しめるってことでしょうか。



長々と読んでくれてありがとうございます。
写真は今日のお昼に作った、クスクスのレモンとケイパー和えとバターナッツ南瓜とレーズンとシナモンの鶏肉煮込み。完全創作でしたが、おいしかった。







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