28 Dec 2010

こんなかんじ。

昨晩吉本ばななののTSUGUMIを読んでいました。
そこに、私の今の感情をよくもまあーここまで忠実に表した、という箇所がありましたので抜粋したいと思います。まためそめそしてしまった。最近こんなかんじ。


(主人公のまりあが育った山本屋旅館が来年の春閉館する事になり、最後の夏を過ごしに戻ってくる…)

 つぐみが立ち上がり、冷蔵庫へぺたぺた歩いていって、昔、酒屋でもらったミッキーマウスのグラスに麦茶を注ぎ、ごくごく飲んだ。そして空のグラスを磨きこまれた流しにことり、と置いて言った。
「あのつらで、ペンション。はためいわくな親父だ、ほんとに」
「それが夢だったのね、お父さんは」
ちょっとだけ目を伏せて、陽子ちゃんは言った。
 こんなに確かに今あるここが、来年の夏にはあとかたもない。そんなこと、ぴんとくるはずもない。多分、この子達にもきていない。
 毎日なんてずっと、なんていうことはなかった。この小さな漁村で、寝て、起きて、ご飯を食べて暮らした。調子が良かったり悪かったり、TVを見たり、恋をしたり、学校で授業を受けたりして、必ずこの家に帰ってきた。そのくりかえしの平凡をぼんやりと思い返してみるとき、いつのまにかそこに、ほんのりあたたかく、さらさらした清い砂みたいな何かが残る。
 ほのかなそのぬくもりをそっくり感じて、旅疲れで少し眠いわたしがうっとりとなつかしい幸福を味わっていた。
 夏が来る。さあ、夏がはじまる。
 必ず1回こっきりに通りすぎて、もう2度とないシーズン。そんなことよくわかった上でいつも通りに行ってしまうだろう時間は、いつもより少しはりつめていて切ない。その時、夕方の部屋にすわって、私達はみんなそのことをよく知っていた。悲しいくらい知った上で、なおとても幸福な気持ちでいた。



人生3分の1の時を過ごしてきた土地を離れるのは何とも悲しすぎる。土地というか、まわりの大切な人たち(かなり沢山)と離れるのがつらいねえ。果たしてそんなことできるのか!と不安になります。色々計画たてているけれど、本当は離れたくないんだなあとひしひしと感じる日々です。でもだからか、返って毎日が楽しいです。今しかない、という感覚で充実しています。

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